箱庭療法は大学病院勤務時に丁度、ユング派の先生がおり、教えていただくことができました。
最初、箱庭療法は砂遊び程度ではないかという先入観がありましたが、思春期の神経症水準の患者さん数人に、夢の分析と並行して箱庭療法を行っていて、衝撃を受けました。引きこもりの青年でしたが、全体的に暗い雰囲気の箱庭を造りました。そこに3個のお墓が並んで置いてありました。それから一ヶ月後に、彼の夢に、3つの象徴的なイメージが出現しました。3つのトラウマでした。砂遊び程度ではないかと思っていた箱庭に夢より一ヶ月早く重要な象徴的イメージが出現したことに驚きました。
アスペルガー・タイプは夢の象徴機能が弱い傾向がある(:唯識論の「夢中意識」にその理由が書かれております)為、夢だけでは彼らの内界は見えにくいのですが、箱庭は彼らの内界を表現しやすい傾向があります。
以下に御本人にホームページ掲載の了解を得た写真を示します。
一方的な会話が目立つ多動傾向がある小学生(汚言症)(外向感覚型)。
友達と穏やかな普通の会話がでるようになった頃の箱庭。
ヤーコブソンの言うように、コミュニケーションには「情動を持った自我」が大切な事がわかります。
不登校の高校生(内向感覚型)。
こころの中は、毎日が闘いなのでしょう。
30歳女性の箱庭。
中央は外向感情型(躁うつ型)の特徴(末那識的、世界)が表現されているのですが、四方の角の押さえ方は曼荼羅的でもあります。右上(東北の位置)には倒れて砂に埋められている金色の仏像が置かれております。こういう表現はトラウマの患者さんよく見られます。それによって、全体的な寂しさが出てしまっているのかもしれません。中心の湖は、フロイト的に解釈するより、ユング的に生成と死と捉える方が良いと思いました。即ち、新しい自分の誕生を待っているのかも知れません。
自由診療となりますので、18歳以上は2,000円、18歳未満は1,000円となります。